「歯周病と糖尿病」について、勉強会で発表して
糖尿病はこんな病気
糖尿病とは、インスリンという血糖値を下げるホルモンの効果が十分ではないことにより、血糖値が
上昇した状況がずっと続く(慢性高血糖)場合を指す。放置し続けて糖尿病を発症すると、いろいろな
合併症が起きてしまう。歯周病もその一つ。現在の医療ではいちど糖尿病を発症するとほぼ完治は
できないため、予備軍のうちに注意して進行させないことが大切。
歯周病は糖尿病によって悪化しやすくなる
歯周病も動脈硬化などと同様、糖尿病になると進行が早まり、また歯周病の治療が終了してメインテ
ナンスに入っても再発をきたしやすくなると考えられている。糖尿病のコントロールの指標である
ヘモグロビンA1c(HbA1c)がおおむね7%を超えるとそのリスクが高くなると考えられている。リスク
回避という観点からいうとHbA1cを7%以下にコントロールしておくことが肝要。
糖尿病と肥満の関係
肥満になるとインスリンのはたらきが鈍ってくることがわかっている。肥満の方では「インスリン
抵抗性」が生じる。そうなると、一定の血糖を保つうえで通常より多くのインスリンが分泌される。
この状態が長く続くと、すい臓に負担がかかりすぎ、やがて分泌量は減っていき、「インスリン分泌
不全」の状態になる。結果として、インスリンの分泌が枯渇して、糖尿病が悪化してしまう。
肥満は歯周病と同じ慢性的な炎症を起こす
肥満症の特徴は脂肪細胞が増えること。そこには多数の脂肪細胞が観察される。従来脂肪細胞は余分な
エネルギーを中性脂肪の形で蓄えているだけの、倉庫のような細胞だと考えられていた。ところが、
成熟した脂肪細胞には多数の免疫細胞が集積していることがわかってきた。つまり、脂肪組織では感染
によらない炎症が起きている。
従来、歯周病による炎症は口の中にとどまっていると考えられていた。しかし、近年歯周病による
炎症は他の臓器や組織に広がるとかんがえられるようになった。全身に日常的な炎症を惹き起こすと
いう意味では、肥満も歯周病も実は「似た者同士」ということになる。
ポッチャリ体型なら歯周治療による糖尿病の改善があり得る
歯周病によって口の中で起きた炎症は、体のほかの部位に広がる。ほどほどに脂肪組織が成熟している
ポチャリ体型の方では、脂肪組織にも炎症が波及する。重度の歯周病の方ではCRP値が上昇するケース
がある。歯周治療で初診時に高かったCRP値が下がる患者さんに限って、糖尿病のHbA1cも改善する
ことがわかってきた。つまり、歯周病による炎症が体に波及している場合、歯周治療でその炎症を
抑えることが糖尿病の改善につながる。
(CRP値:肝臓から産生される炎症マーカー)
【感想】
糖尿病の自覚がなくても、ややポッチャリ体型の重度歯周病患者さんでは、隠れ糖尿病に罹っている
可能性があるそうです。患者さんの生活習慣や栄養状態を観察していく必要もあると思う。
衛生士 赤木